ホワイトデーは甘くして?
皐月の体に毛布をかけ、蒼太はまたキッチンに立つ。

蒼太が優しくしてくれたことで安心し、皐月はゆっくりと目を閉じた。



「お〜い、起きろ〜!」

体を軽く揺さぶられ、皐月は眠っていたと知った。目の前には蒼太の顔がある。

「ん……。おはよぉ〜……。寝ちゃってたんだね」

「おかゆ作ったんだけど、食べれるか?あと薬も持って来た」

卵とほうれん草の入ったそのおかゆはとてもおいしそうで、皐月の食欲も出始める。

「食べさせて」

皐月が蒼太の服を引っ張りながら言うと、「しょうがねえなあ」と言いながら蒼太はスプーンにおかゆを乗せる。

「ほら、あ〜ん」

声優の時のような普段よりずっと甘くて優しい声に、皐月はアニメのヒロインはこんな気持ちだったのかなと思いながらおかゆを口にする。

「どうだ?」

「とっても、おいしい」

「ならよかった」

そう言って蒼太は笑う。皐月もフニャリと笑った。

おかゆを食べ終わり、薬も飲んだため、お腹の痛みは少しマシになった。横を見れば、蒼太は洗濯物を干そうとしている。
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