ホワイトデーは甘くして?
「蒼太くん、あたしもう動けるようになったから……」

皐月がソファから立ち上がろうとすると、蒼太に「お前は休んどけよ」と微笑まれる。

「今は大人しくしてなきゃダ〜メ!」

「……ッ!イケボずるい!!」

皐月は真っ赤な顔をしてもう一度横になる。ドキドキした胸はそう簡単に収まってくれない。

皐月が真っ赤な顔を手で覆っていると、洗濯物を干し終えた蒼太がソファに近づく。そして皐月の両手を簡単に退けた。

「真っ赤な顔して可愛いね」

その刹那、皐月の唇に柔らかいものが触れる。久々の蒼太とのキスだった。何度も唇が重なり、皐月は何度もキスを求める。

蒼太とキスをするたびに、痛みが少しずつ消えていくような気がした。皐月はハアッと息を吐き、蒼太を見つめる。

「どうして、こんなに甘やかしてくれるの?」

すると、蒼太は恥ずかしそうに皐月の耳元に口を寄せて囁く。

「普段、なかなか甘えられないから。こんな日には甘えてもいいでしょ?だってホワイトデーだし」
< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop