渇愛の姫


「ありがとう、蒼空。」

「いいえ。待ってるから、行ってきな?」


待たれたら困るな…ここには用なんてないのに。


「ごめん蒼空、色々するし遅くなるから帰ってて?帰る時必ず電話するから。ね?」


ごめんなさい。嘘ついて。

…けどこうするしか私は私を抑えられないから。




「…わかった。必ず電話してね?」



ごめん。ごめんね。




──許してなんて言わないから。






< 104 / 222 >

この作品をシェア

pagetop