渇愛の姫
結雅には梓さんっていう最愛の人がいて。
きっと蒼空にも新にも玲緒にも、そんな人はいるかもしれないけれど。
私は…私だけは、なにもない。
いつだって満たされていなくて、けど満たされていたくて。
願うばかりで自分からそれを叶えることなんてして来なかった。
「ないものねだり」
…その言葉に無性に腹が立つのは、図星だったから。
本当にないものだけをねだってる。
手に入らないものを…欲しがってる。