渇愛の姫


「なにしてるの。」


冷たい水に一歩足を踏み入れた時、優しい声が降ってきた。


「そ、ら…」


まさか。なんで?

帰ったはずじゃ…




「…泣きそうな顔の子、置いて帰るわけないだろ。」

少し怒ったような口調。

呆れられたかな。…嫌われたかも。嘘ついたから。


「…ごめん、なさい」


やっぱり私はこの人たちに迷惑しかかけないから。



いなくなった方が…「結愛。」




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