渇愛の姫
何かを言いかけたお母さんは、私を見て…いや、私の後ろを見て口元に手を当て目を見開いた。
「俺が呼んだんです。」
…そう、私の後ろにいた結雅を見て。
「君は…!」
さっきまで優しげに微笑んでいたお父さんから笑顔が消えた。
そこには明らかに確執があり、簡単に拭いされるものではない。
「帰ってくれ。君にはもう二度と会いたくないと前にも言ったはずだ。」
前にも…
結雅は本当は、愛しい人のお墓参りに命日である今日来たいはず。
なのに命日に来ることは許されず、日にちをずらした。