渇愛の姫


「梓から毎日のように結雅くんの話を聞いていた。…その時の梓の笑顔が、僕はとても好きだったんだ。」

1滴、流れた涙を指で拭いお父さんは続けた。


「娘をそういう顔にさせてくれた結雅くんにも感謝しなきゃいけないのにね。…僕は君に、なんと謝ればいいんだろう。」


結雅の肩を掴み、答えられない問いを尋ねる梓さんのお父さんの姿は縋るようにも見える。



「…私からも、結雅くん。謝って済むことでは無いけれど…ごめんなさい。」




< 124 / 222 >

この作品をシェア

pagetop