渇愛の姫
やっぱり私は、少しでも綺麗なままあの人の記憶の中にいたいから。
「…こんなもんかな。」
手紙を書いた。
内容は簡単で「家に帰る」と一言だけ。
昨日の事があって、結雅はぐっすり眠ってる。
他のみんなも昨日すごく心配したらしくて寝不足気味だから、出ていくなら今。
「ゆ…あ」
…起きてない。寝言だ。
寝言で私の名前、呼ぶなんてね。
「…惑わせないで。」
軽く結雅のおでこにデコピンすると、少し顔を顰めた。
私を惑わせる悪い人だから、それくらい我慢してよね。