渇愛の姫


…行きたくない。

いじめられていた時ですらこんな事思わなかったのに、私をそう思わせるアイツは天才?



「はぁ…」

流石に今の状況では、この下駄箱のゴミの山も結構精神的にくる。



「“放課後、体育館裏に来い”?…あーらら、嫌われてんだ。可哀想に」


耳障りな声で、嫌な文章を音読され嫌悪感は2倍。



「今日転校してきました“橘 千紘”で〜す。よろしくね?」


橘…?たしかこの男の苗字は…


「おっと。…本当のこと喋っちゃヤだよ?」


口元をおさえられ、耳元で誰にも聞こえないように囁いた。



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