渇愛の姫
「橘 千紘が存在しない…?」
確かに怪しんではいたけど、まさか存在すらしない偽名だったとは。
「その代わりに関連で調べて出てきたのは佐伯 千紘。」
当然、玲緒も俺も驚いた。
佐伯組と言えばなんでもありで、警察すら手がつけられないと有名な組だから。
「もしかしたらそこに、結愛ちゃんが…」
そう呟くと、結雅が立ち上がった。
「待てって結雅!今1人で行くなんて無茶だ!」
玲緒の言う通り、今1人で行くのは無茶。…だけどいてもたってもいられない結雅の気持ちも痛いほどわかる。