渇愛の姫


「とりあえず寝ないなら体力だけでもつけないとね。新、玲緒、ちょっと付き合って?」


財布を持って蒼空が病室を出た。




「……」

少し…いや、かなり自分の体にガタがきてるのがわかる。





「…起きろよ。」

規則正しい寝息をしているのに、ただ眠っているだけのように思えるのに。






「…結愛、」


白いシーツに、シミが出来た。

それは紛れもない俺の涙で、情けなくなる。






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