渇愛の姫


「あいつ……はぁ…」


ため息しか出ない。

公園の公衆トイレに入り鏡をみると、だらしなく開いたシャツから見える首筋と胸元にはキスマークが付いていた。



“俺のって証つけとくね”って、こういう意味だったのか。



「気持ち悪。」


吐き気がする。
今すぐにも消してやりたいのに、この濃ゆさは1週間は消えなさそう。





「…帰ろ。」


どれだけ睨めっこしたってこの証が消えるわけじゃないし。





< 6 / 222 >

この作品をシェア

pagetop