渇愛の姫


それは電話の音ではなくメールの音。



『…緊張するなぁ。』

第一声はなんとも緩い言葉。

結雅の携帯を覗き込むと、録音された音声が送られてきていた。

時間は5分10秒。




『みんなで聞いてるのかな。聞いてくれてたらいいな』


静かに俺たちはその音声を聞いた。

遠くに聞こえる車の通る音、その場所がどこかは音声じゃ突き止められない。




『この半年間、私生まれてきて1番幸せだった。』




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