渇愛の姫
『結雅に初めて会った時は、何この無愛想な人!って思った。』
確かに梓ちゃんは最初、結雅の事がどちらかといえば苦手だと言っていた。
今思えば嘘のように思えるけど。
『けど会う度、隣を歩く度にその優しさに触れて…いつの間にか好きになってたの。』
初め頃はどうやったら仲良くなれるか、だったのに次第に相談はどうやったら振り向いてくれるか、になっていた。
『──結雅、大好きよ。愛してる。こんな私に愛する事を教えてくれてありがとう。』
その時、画面の向こうから風の音が聞こえた。
そういえばさっき強い風が吹いたっけ。
『お誕生日おめでとう。…幸せになってね』