渇愛の姫
自愛
私が泣いちゃダメ。
そう思えば思うほど、みんなの心の中を、気持ちを考えるほどに涙が溢れた。
「おかえり、結雅。」
「あぁ。」
蒼空のお出迎えで帰ってきた結雅は、お線香の香りがした。
…なんとなく話しかけられない。
「結愛」
初めてハッキリと名前を呼ばれた。
「な、なに…?」
わかりやすく動揺する私。
それをおろおろしながら見てる玲緒。
結雅の過去の話を聞いたって言うのは秘密にしないといけない。約束したから。