渇愛の姫


「うん。もう、帰るつもりだよ。」

荷物はまとめてあった。

…カバンの中身なんてろくに入ってないのに重く感じるなんて、不思議だな。

帰りたくないとか思ってるのかな。



「みんな、色々ありがとね。」


送っていくという蒼空を断って、踵を返した。















──この涙がバレないように。








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