渇愛の姫
「…最悪。」
ただでさえ低血圧なのに、更に元気でなくなった。
『今日もすごい賑わいで──』
静かすぎてつけたテレビから聞こえるたくさんの人の声。
…繁華街、か。
誰にも会う気はしないけど、1人は紛らわせてほしい。
そばにいてほしい誰かが居ない今、結局私だって選り好みしてるだけで寂しいんだ。
「よし。」
平日のこの時間に高校生と思われると面倒だから、少し大人に見えるように軽くメイクをした。
本当は腫れぼったい目元を隠すためだけど。