チョコレートみたいな恋
公園のベンチはヒヤッとしていて座り心地が悪い。冷たい風も吹いていて、祥平君が自分のマフラーを私のマフラーの上に巻いてくれた。

「やだ、グルグル巻きだよぉ」

「寒いんだから、我慢して」

祥平君はチョコレートの包装紙を丁寧に開けながら言った。

「……このお店のチョコは好きだから祥平にあげようって思ってたんだけど、キラキラしてなくてごめんね」

「キラキラ?そんな事よりも、紗夜が美味しいと思うチョコを貰えて嬉しい。紗夜が好きな味を知りたいし」

形が色々なチョコレートを一粒取って、口に放りこんだ祥平は「甘すぎずビターで丁度良い。美味しいよ」と言って、更に口に運んでいた。

甘い物が得意ではない祥平にあげたのは、ビターチョコレートだけが入ったセットだった。ほんのり甘くて、すっきりとした味のチョコレート。

「はい、紗夜にもあげるね」

チョコレートを一粒、指で取って私の口元に運ばれる。私も甘い物が得意ではないから、この位の甘さが丁度良かったりする。

二人で寒空の下、頬張るチョコレートは最高に美味しいと思った。
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