王子様の溺愛は、とことん甘い【番外編追加済み】
「見たいです」
隣に立つ詩音先輩はコンマ1秒も開けず、お母さんの言葉に食い気味に答える。
「ほら、言ったじゃない。あとで紅茶とお菓子持って行くから、ゆっくりしていてね」
私の返答も待たずにリビングへと戻っていったお母さんは、心做しか足取りが軽やかだ。
「…すみません。お母さん馴れ馴れしいし、勝手に決めちゃって…。あ、私の部屋は2階なので階段上がってください」
先輩を私の部屋へと促しながら謝る。
「ううん、全然。思ってた通り、優しくて明るいお母さんだね。芙羽梨がこんなにいい子に育ったのも頷ける」