"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる
そして、一週間後。
絵里を美容院に連れて行き、一緒に服を見て勝負の時に備えた。後は悠介の友人からの連絡を待ちつつ、居酒屋の近くのカフェで待機をするだけ。
「休日に二人で会うのって初めてじゃない?」
「二人で会う理由がないじゃん。悠介とも二人で会うってことは殆どないし」
「俺は結構ゆ〜君と会ってるよ?」
嫉妬からか、ジトっとした目つきを送ってくる絵里に得意げな笑みで返す。絵里は悔しそうに机の上で拳を作った。
「俺と二人だとこんなやりとりばっかだもんねぇ」
フラペチーノを意味もなくかき混ぜつつ、呟いてみる。
「でも、定番のやり取りって感じで楽しくなってこない?」
「全く」
「え〜」
即答だった。
予想通りではあったけれど、少しくらい楽しいと思っていて欲しかったなぁ。なんて、そんなことを思う。
「楽しくはないけど、今日の買い物は友達と来るより楽。パパッと決める割には妥協しないし的確だった。千葉崎って無駄にセンスあるよね」
「珍しく褒めてくれるじゃん」
「あんたが珍しく役に立ったからね」
憎まれ口の応酬に互いに小さく笑った。