"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーー
玄関の引き戸に手をかければ軽い。
何度も何度も注意してはいるがいつもそうだ。
男は小さくため息を吐き、引き戸を引く。簡単に開いてしまう玄関の引き戸に鍵がついている意味はない。
「もうそろそろ帰ってくる頃だと思ってた」
玄関には男の妻がバスタオルを持って待っていた。
男にとってそれはいつものことで、だからこそ、男自身ももう鍵を持ち歩かなくなってしまった。
「おかえりなさい」
「………ただいま」
サーフボードの水気を吸い取り、次にウエットスーツの上半分を脱いで体を拭く。それから、その上半分を外で軽く絞って下半分の水気をタオルに染み込ませ、玄関の鍵を閉める。
「お風呂沸いてるよ」
「ありがとな」
有難いことに男が海に行った時は必ず、帰って来るまでに風呂の準備がされている。
着替えを取りに行くため、男の部屋である大和室に向かおうとすると。
「今日ね、明日から隣に住む大学生の男の子が掃除しにきてたんだよ」
「………へー」
ーーーーーーーーー
ーーーー
玄関の引き戸に手をかければ軽い。
何度も何度も注意してはいるがいつもそうだ。
男は小さくため息を吐き、引き戸を引く。簡単に開いてしまう玄関の引き戸に鍵がついている意味はない。
「もうそろそろ帰ってくる頃だと思ってた」
玄関には男の妻がバスタオルを持って待っていた。
男にとってそれはいつものことで、だからこそ、男自身ももう鍵を持ち歩かなくなってしまった。
「おかえりなさい」
「………ただいま」
サーフボードの水気を吸い取り、次にウエットスーツの上半分を脱いで体を拭く。それから、その上半分を外で軽く絞って下半分の水気をタオルに染み込ませ、玄関の鍵を閉める。
「お風呂沸いてるよ」
「ありがとな」
有難いことに男が海に行った時は必ず、帰って来るまでに風呂の準備がされている。
着替えを取りに行くため、男の部屋である大和室に向かおうとすると。
「今日ね、明日から隣に住む大学生の男の子が掃除しにきてたんだよ」
「………へー」