"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる

大きく前へ、後ろへ規則正しく揺れていたブランコが重心をなくし、バランス悪く揺れる。さっきまでブランコを揺らしていた平松は宙を浮き、大きく前へ飛んだ。

綺麗に着地を決め、平松が振り返る。

「あなたが素敵な大人になれるように祈っているわ。最後に話せてよかった。ありがとう」

いつのまにか太陽は沈みかけ、あたりの木々の影が伸びていく。

昼間の太陽が夕日となって辺りを橙色に染めた世界で平松はとても朗らかで綺麗だった。


「どうかお元気で」

そして、どうかお幸せに。


心から願った。
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