"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる
小さな顔に均整の取れた一つ一つのパーツ。
髪や肌、目に至る全ての色素が薄く、儚げな印象があるのに健康的な唇の色、天真爛漫な性格が彼女の明るさを強調している。

そんな人が俺の知る芸能人では思いつかなかった。
まるで芸能人のように美しいが、誰にも似ていない。


「そういうのは分かんねーけど、多分、今まで会った中で一番綺麗なんじゃないかって思う」

「うわ〜お、好きになっちゃった感じ?」

「俺もまだ二回しか会ったことない人だし、それはない」

「回数なんて関係ないじゃん、ねぇ?」

「何で私に聞くんだよ!」


酒井がまた千葉崎の首を絞めにかかるのを横目に見つつ、食べ終わったものを片していく。

酒井から怒られている千葉崎はヘラヘラと笑っている。酒井が何故怒っているのかは分からないが、千葉崎が余計なことをわざと言って怒らせているのだけは分かる。

< 34 / 259 >

この作品をシェア

pagetop