3月14日
「あっ、健太。珍しいね。帰り、一緒になるの」

別に同じクラスの男子と帰るのなんて、なんでもないことだ。
 
そう、頭では分かってるんだけど。

さっきの、男と別れ際の花奈の笑顔がちらつく。
 
家までゆっくり歩いて10分あまり。
 
話すのはほとんど花奈。それもいつものこと。

おれは相槌を打つ係。

いいのかな、本当におれで。
 
花奈は屈託なく明るくふるまっているけど。
 
ただ、相槌を打つだけの男と一緒にいて楽しいのかな。
 
まだしつこく「別れさせるらしい」っていう言葉が頭をめぐっている。
 
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