美術室のユーレイ




「俺…死ぬはずじゃなかったんだ」


「えっ、でも自殺だって…」



『俺は自殺したユーレイなんだ』


「たしかに自殺した。でもそれは誰の手も加わっていない死って意味。普通自殺って死ぬ意思があって死ぬものだけど、俺は死ぬ意思があって死んだわけじゃない」


「そうだったんだ…」


「あーあ。俺も生きてたら今頃大学1年生かー」なんて言いながら伸びをしている。



「どうして…」


「ん?」


「どうして死んじゃったの…?」



どこまで踏み込んでいいか分からなかったけど、この質問にも笑顔を見せてくれた。


でもその笑顔はとても、悲しそうだった…。


「学校の屋上で足を滑らせちゃって…それで落ちちゃった」


「ね?予想外の死でしょ?」なんて美斗くんは笑ってるけど、私は当然笑えなかった。


< 102 / 267 >

この作品をシェア

pagetop