美術室のユーレイ
「そうだ。お嬢ちゃん、名前は?」
思い出したかのように聞かれた。
そういえば自己紹介がまだだった。
「私の名前は渡辺 舞空!」
「舞空ね。よろしく」
「あなたの名前は?」
私がそう聞くとユーレイは首を横に振った。
「ない」
「え?」
「ない」
「『ない』ちゃん?」
「ちがう!ないんだよ名前が!」
「そうなの!?」
さっきから驚かされてばかり。
名前がないなんてあるんだ。
「…生きてた時の名前は?」
私がそう言うとユーレイは小さく笑った。