美術室のユーレイ



「…あたしがユーレイになってどれくらい経つと思う?」


急な質問に戸惑う。


「え?えーっと…5年くらい?」


「5年!?若っ!!」


ユーレイは大袈裟に驚いた顔をした。



「あたしはユーレイになって実に数百年!」


「ええっ!?数百年!?」


冗談でしょ!?


今度は私が盛大に驚く番。



「でも、姿は同じ感じ…」


同じ制服を着ているし、顔だっておばあさんって顔をしていない。



「学校の霊になるとその学校の制服を身にまとうことになってるの。で、私がお嬢ちゃんと同い年くらいに死んだから顔も老けてない」


「そういうことだったのか」


これは冗談ではなく本当らしい。





「生きていた頃なんてもう数百年前だからね。だから自分の名前なんて覚えてないのさ」


「そっ、か…」



言われてみれば同い年っぽいくせに私のことを『お嬢ちゃん』なんて呼んでみたり、口調なんかも今どきのJKっぽくなかったり…。


でも名前がないなんてちょっと可哀想って言うか…





あっ!そうだ!


< 117 / 267 >

この作品をシェア

pagetop