美術室のユーレイ



その時私の中のなにかがプツンと切れた。


みるみるうちに怒りが湧いてくる。



「…よくも…アカリのことを!」


近くにあった体育祭に使う大旗を掴み、悪霊に向かって勢いよく突き刺した。


今までの私だったら悪霊に立ち向かうなんて信じられなかった。


でも友だちが目の前でやられて、動かなくなってしまったのを見たら、いてもたってもいられなくなった。




「グゥゥゥゥゥゥ…」


旗の先はヤリのように尖っていたからか、悪霊はさっきよりも怯んだ。


「やった…!」




でも私の考えは甘かった。



「グワッ!!」


悪霊の葉っぱが私の体に巻き付き、宙に持ち上げられた。


足が地面から離れた。


「嫌!離して!!」


腕でドンドンと攻撃してみても、葉っぱのはずなのにビクともしない。


離してくれる素振りもない。



悪霊は牙がたくさん生えた大きな口を開けた。


その口がどんどん迫ってくる。



た…食べられる…!


悪霊の口の中は暗く、闇のように見えた。



嫌だ!食べられたくない!


ジタバタと体全体で暴れた。



だが、どうにか抵抗しようとするも、花は花でも悪霊なだけあってなにしても効かない。


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