美術室のユーレイ
どれだけ辺りを見渡しても見つからない。
たしかアカリはここの場所でしか存在できないって言ってた。
それなのにいなくなってしまったってことは…。
「まさか…消滅…?」
「舞空」
「や…やだ。アカリ…。いなく…ならないで」
私の目には今にも溢れ出しそうな、たくさんの涙の粒が溜まっている。
「舞空落ち着いて。そのユーレイがどんな霊かは知らないけど、悪霊はともかく、善のユーレイが消滅することはまずありえない」
「え…じゃあ…」
美斗くんは優しく笑い、私の涙を拭ってくれた。
「そんなに心配しなくても、しばらくすればまた必ず戻ってくるから」
「…本当?」
「本当だよ。だから泣き止んで」
私は目に溜まった涙を全部拭き取った。
「わかった」
「よし、いい子だ」
そう言いながら頭を撫でてくれた。
あいわからずドキドキする心臓。
なんか私、小さな子どもみたい。
でも、いいや…今はこれで…。