美術室のユーレイ
苦笑いしながら後ずさっていたけど、ついに壁まで到達してしまった。
もうこれ以上はさがれない。
美斗くんはそれをいいことにどんどん距離をつめてくる。
そして私の顔の横に手を置いた。
ち、近い…近すぎる…!!
もう私の視界は美斗くんしか写ってない。
「俺を騙すなんて悪い子だね」
美斗くんは私のおでこに自分のおでこをコツンと合わせた。
顔が赤くなっていくのを実感し、私は咄嗟に下を向く。
心臓がバクバクと音を立てている。
な、なにこれ。
ドキドキしすぎておかしくなりそう…。
顔と同時に目頭も熱くなり、視界が涙で滲む。
「舞空」
私の赤くなった頬に手を当て、顔を上へ持ち上げさせられる。
「顔、真っ赤。涙目だし」
「だ、だれのせいだと…!」
私がそう言うと、美斗くんはニヤッと悪い顔をした。
そして私の耳に口を近ずけ、耳打ちをしてきた。
「もっと泣かすようなことしてやろうか?」
片方の口角を上げている。