美術室のユーレイ
私は走り美斗くんの背中に向かって抱きついた。
「わっ!舞空?」
美斗くんはびっくりした顔をして振り返る。
「私、美斗くんのこと怖い人だなんて思ってないよ。ピンチのとき、すぐ助けに来てくれるし、私のことも心配してくれるし。美斗くんは私にとっていてくれなきゃ嫌な存在。だから誤解しないで?」
だって、好きな人だから___。
私がそう言うと美斗くんは眉を下げて笑い、私に向き合った。
「なんでそんなまたかわいいこと言うかな」
「え?」
そう言うと私の唇に人差し指をあてた。
「そんなこと言われると我慢できなくなるわけ、わかる?」
さっきまでの余裕な表情とは違い、顔がほんの少し赤くなっている。
「が、我慢?」
「そう、我慢」
我慢ってなんの?
私が首を傾げていると
「キスしたくなるってこと」
美斗くんがまた私に耳打ちをしてきた。
「っ!?」
キ、キ、キ、キ、キス!?
言葉もそうだけど、耳打ちにもやられ、私の顔は今まで以上に一気に赤くなった。
それはもう沸騰するんじゃないかと思うくらいに。