美術室のユーレイ
「せっかくだからきょうは部室以外の場所で絵を描かない?」
「部室以外?」
「そう。舞空が描いてくれる俺の絵って全部部室じゃん?たまにはほかの場所もいいかなって」
美斗くんがこういう提案をしてくれるのは珍しい。
でもたしかに私のスケッチブックにある美斗くんの絵は全部部室で描かれたもので、たくさん描いているからそろそろバリエーションもなくなってきた。
案外いいのかもしれない。
「いいねそれ!」
私が笑顔を向けると美斗くんが私の耳に近づいてきた。
そして私の耳元でボソッと呟いた。
「…放課後デート」
「なっ…!」
みるみるうちに赤く染る顔。
イタズラっぽく笑う美斗くん。
「ふ、普通に言ってよ!」
「舞空の反応がおもしろいから、つい」
『つい』じゃなーい!
ドキドキしすぎて毎回やばいんだって。
こっちの気も知らないで。
こんなんじゃ私の心臓がいくつあっても足りないよ…。