美術室のユーレイ




「で、ど、どこにするの?」


なるべく切り替えられるように話題を出した。


「うーん…あんまり人がいないところがいいよね」


「絵の邪魔になるから?」


「違う。舞空以外に俺は見えてないから」


「え?…あぁ!周りからは私がひとりで絵を描いているように見えるのか」


「そういうこと」


そうだった、美斗くんはユーレイだから私以外のみんなには見えないんだった。


そういう私の配慮も欠かさない美斗くん。



やっぱり、好きだな…。


…絶対本人には言えないけど。



「人があんまりこなくて、絵が映える場所…」


2人で うーん と考える。



なんかデートの場所を一緒に考えるだなんてカレカノっぽいな。


…って思ったのは美斗くんには秘密。




にしてもどこがいいだろ。


旧校舎は人が来ないだろうけど、古臭いから嫌だし。


資料室も人は来なさそうだけど、なにより絵が映えないし。


音楽室…図書室…技術室。




うーーーん…。


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