美術室のユーレイ




もっとよく思い出そうとするけれど、それを制するかのように頭のグルグルが増す。


やがて、なにを考えていたのかもわからなくなる。





美斗くんはそんな私を抱きしめ、頭を撫でてくれていた。


いつも通り体温のない体で。


ただ、『大丈夫だよ』とか『怖くないよ』というような慰めの言葉は一切なく、無言だった。


そういう言葉がほしいとかじゃなくて、こういう時は大体そういうことを言ってくれていたから、いつもの美斗くんぽくなくてちょっと不思議だった。


それと、抱きしめてくれている腕も、頭を撫でてくれている手も少し震えているように感じた。

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