美術室のユーレイ
「美斗…くん…?」
「もう、大丈夫?」
「うん…」
めまいも頭のグルグルも収まった。
ただ私の心を取り巻く黒いなにかは消えてない。
朦朧とする意識の中で見たさっきの映像は、半分以上忘れてしまっていたけれど、ただひとつ覚えていることは…
「キャップ…」
「え…!?」
私がそう呟くと美斗くんが驚いて私から離れた。
「ま、舞空…?」
目を白黒させ、明らかに挙動不審になる。
「どうしたの?」
なにやら今度は美斗くんが緊急事態のようだ。
「あ…いや…」
気まずそうに目をそらす。
生きていたら冷や汗でも垂らしそうな様子。