美術室のユーレイ
「なんで…『キャップ』だなんて言ったの?」
言いづらそうにしていたから、なにを聞かれるんだと思ったらそんなこと。
えっと、それ…そんなに気になること?
ただの独り言のようなものだったのに。
でも美斗くんの様子が変だからきっとなにかあるんだ。
「さっきなにかの映像が頭の中で突然流れて、なんの映像だったかは覚えてないんだけど、でも頭に残ったのがそのキャップだった」
キャップが風に乗ってふわふわと浮かんでいる様子…。
私が思い出せるのはそこまでだった。
「そうなんだ…」
美斗くんがちょっと安堵したように見えたのは気のせいだろうか。