美術室のユーレイ
じゃあさ、なんで自分のことを『川村 美斗』だなんてまだ生きている此岸のものの名を名乗ったの。
そもそも私のことが気になったから、絵を描く私に興味を持ったから、私の前に姿を現したんでしょ?
だったら別に本名でいいじゃん。
なんで他人の名前を使ったの。
…それとも、本名を知られたら困る理由でもあるの…。
それに美斗くんじゃなかったらあの袖の黄色い絵の具の跡はなに…?
……。
…だめださっぱりわからない。
こればかりは考えても真実にはたどり着けない。
…本人に直接聞いてみるしかない。
そう決心し、私は歩き出した。