美術室のユーレイ



じゃあさ、なんで自分のことを『川村 美斗』だなんてまだ生きている此岸のものの名を名乗ったの。



そもそも私のことが気になったから、絵を描く私に興味を持ったから、私の前に姿を現したんでしょ?



だったら別に本名でいいじゃん。



なんで他人の名前を使ったの。










…それとも、本名を知られたら困る理由でもあるの…。






それに美斗くんじゃなかったらあの袖の黄色い絵の具の跡はなに…?













……。












…だめださっぱりわからない。



こればかりは考えても真実にはたどり着けない。






…本人に直接聞いてみるしかない。






そう決心し、私は歩き出した。


< 169 / 267 >

この作品をシェア

pagetop