美術室のユーレイ
涙を拭い、扉に手をかけ、勢いよく開ける。
私に気づいた彼は振り返り、笑顔で私に手を振る。
「よお、舞空。きょうは遅かったじゃん?」
もしかしたらこの笑顔を見られるのも今日が最後かもしれない。
…やっぱり、結杏から聞いた話は聞かなかったことにして、このままずっと…。
そう思っていると彼はいつの間にか私の近くまで来ていた。
「舞空?どうかした?」
彼は私に向かって手を伸ばす。
パンッ!!
私はその手を反射的に振り払っていた。
「え…舞空…」
彼は払われた手を宙に浮かせ、驚いている。
私はそれが合図だったかのように悩んでいた糸がプツンと切れた。