美術室のユーレイ
真実
「ねぇ舞空。きょうも絵を描きに行こうよ」
放課後、彼はいつも通り私の席に来た。
彼とは幼なじみでも、家が近くもないけれど、小学校6年間同じクラスで、私が唯一しゃべられる男の子。
私が絵を描くことが好きなことも知っている。
「『描きに行こう』って描くのは私で、叶多くんはモデルでしょ?」
「いいじゃんいいじゃん。舞空の絵めっちゃ上手で俺、好きなんだよね」
一瞬、心臓がトクンと音を立てる。
『好きなんだよね』
…いや、好きって言ったのは私の絵のことだから。
「もお、しょうがないなぁ」
とは言いつつも、本当は彼と一緒に過ごす放課後を楽しみにしていた。
「やった!行こうぜ!」
彼は私の手を掴み、引っ張る。
それにもドキドキしてしまう。
「ま、まって荷物…!」