美術室のユーレイ
「おーい舞空?何見てんの?」
彼の声によって我に返る。
気づけば彼は振り返り、不思議そうに私を見ている。
『あなたを見ていた』なんてそんな恥ずかしいこと言えない。
どうしようかと言い訳を考えていると、ビュンと風が吹く。
「あ、か、風?」
「え?風?」
「うん。風が強いなーと思って…」
「風見てたの?なんだそりゃ」
そう言って彼は笑った。
好きな人の笑顔ってなんでこんなにも輝いて見えるんだろう。