美術室のユーレイ
「4回以上、この時計を動かしてはいけない」
「…動かしたら、どうなるの?」
「二度とこの世界に戻ってこられなくなる、だけではなく、消える」
「消える?」
「渡辺 舞空 という存在自体が消える。もとからこの世界にいなかったことになる。そして…彼も」
「叶多くんも消えちゃうってこと…?」
アカリが静かに頷く。
「それでもいい?」とアカリが確認する。
叶多くんの運命は…すべて私にかかっている。
生きられるか、死んでしまうか…。
でも私は叶多くんを助けると決めた。
迷いはなかった。
「いい!とりあえず4回までに抑えればいいんでしょ」
「そう。それと完全に過去を変えることができたらその時計は動かなくなる」
「私が屋上以外で絵を描くか、絵を描かずに帰ればいいってことね」
「そういうこと」
「…そしたら、叶多くんは生きていける…?」
私は恐る恐る聞いた。
アカリは頷いた。