美術室のユーレイ



離れて顔を見合わせる。



お互い涙で顔がぐちゃぐちゃだった。



「ひどい顔 」



「そっちこそ」



私たちは笑い合った。





「ほら、そろそろ行きな?」



アカリは床に現れている魔法陣を指さした。




これに乗れば…叶多くんを…。




私は静かに魔法陣の上に足を置く。



下からすごい風が吹き荒れた。



そしてだんだんと目の前の視界が薄くなっていく。




アカリの姿も見えなくなっていく。





私はアカリに叫んだ。






「アカリ!今までありがとう!元気でね…」







アカリは優しく笑いながら手を振ってくれていた。




その口が『ありがとう』と動いた気がした_____。


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