美術室のユーレイ
ここは放課後の教室。
そして目の前にいるこの子が…叶多くん。
小学生のころの…叶多くん…。
涙腺が緩みそうになり、あわてて下を向く。
私には、やらなきゃいけないことがある。
手の中にはアンティーク調の小さな懐中時計。
この針を4回鳴らすことなく、屋上へ行くのを阻止する。
叶多くんを…助けるんだ…!
「なに?どうしたの?」
挙動不審な私を叶多くんが心配そうに見てくる。
もう教室にはほとんど人が残っていない。
「ううん、大丈夫だよ」
「変な舞空ー」と叶多くんが首を傾げた。
かと思うとすぐに元気な表情を見せる。
「ねぇ舞空。きょうも絵を描きに行こうよ」
ギクッ。
きた…。