美術室のユーレイ
私は逃げるのに夢中になりすぎて昇降口を抜け、学校の門を出てしまった。
少し遅れて叶多くんもきた。
そして、門を……くぐった。
くぐった!?
「あれ叶多くん、学校の外に出られるの?」
「は?当たり前だろ。俺もうユーレイじゃねぇもん」
「え、じゃあ今度からは一緒に…」
「あぁ、どこへでも行ける」
私は嬉しくなり、叶多くんに向かって勢いよく抱きついた。
「うおっ!ちょ、舞空。みんな見てるから」
叶多くんが慌てたような声をあげる。
「いいの!」
私はこの嬉しさを今すぐに伝えたかった。
なんならもうみんなにこの嬉しさを見せびらかしたかった。
「…ったく。しょうがねぇな」
叶多くんはそう言い抱き締め返してくれた。