美術室のユーレイ
「舞空?どうした?手、止まってるけど…」
叶多くんが首だけをこちらに向けてきた。
「…あっごめん。ちょっと友だちのことを考えてた」
でも、いいんだ。
私もいずれは彼岸の世界に行くし。
そしたらその時は一緒にまたくだらない話をしよう。
彼岸の先輩として、いろいろなことを教えてもらおう。
叶多くんは心配そうな顔をしたけど、私の笑顔を見て安心したのか前を向く。
「どんな絵になるのか楽しみだな」
叶多くんは待っているだけでも楽しそう。