美術室のユーレイ
やがて下書きが腕に差し掛かったとき、袖のところに黄色い跡がまだついているのを発見した。
あれって、美斗くんの絵の具の跡のはずだよね…?
美斗くんが叶多くんだったとわかった今、なんで叶多くんにも同じ黄色の跡がついているんだろう。
「ねぇ叶多くん。その袖の黄色い跡って…」
「ん?これ?」
叶多くんは柵にかけている手を少しあげた。
「そうそれ。それって…」
「神様との契約の跡」
思いもよらなかった返答が返ってきて驚く。
「え?契約?」
「あれ、言ってなかったっけ。俺がユーレイだったとき、此岸のものに姿を見せるためにつけられた契約の跡」
「そうだったんだ…」
それがたまたま美斗くんの袖の絵の具の跡と同じところについていたってことか。
しかも、色まで同じ。
その跡のおかげで…私は真実を知ることができたんだね。
偶然って…すごい。
ちなみにその跡は私にしか見えていないらしい。