美術室のユーレイ




「…雨、止まないね」


部室に戻った私たちは窓にもたれ掛かる。


さっきから雨足は弱まることをしらず、幾度もなく降り続いている。


地面はすでに海のようになり、これじゃあ傘をさしていても意味がないだろう。



「うちらこれいつ帰れるんだろうね」


「…」


「叶多くん?」


「…あぁ、悪い、なに?」



叶多くんは部室に戻ってからなぜかずっとこんな調子で、反応が遅れたり、そもそも聞こえてなかったりする。


無視ではないと思うけど…。


どうしたんだろう。



「雨、止まないねって」


「あー…うん」



返事も上の空。


いつもならもう少し会話のキャッチボールができるのに…。



きょうの叶多くん…おかしい。


なにか悩みでもあるのかな?


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