美術室のユーレイ



「どうしたの?」


もうこれは聞くしかないと思って問いかけてみた。


「…」


…無反応。


ちょっとまっていくらなんでも…え!?


うそでしょ?


数秒前までしゃべってたよね?


どんだけ自分の世界にのめり込んでんの!



「かーなーたーくん!」


私は叶多くんの肩を思いっきり揺さぶった。


「うわぁ、びっくりした。なに?」


「『なに?』じゃない!なんかきょうの叶多くんおかしいよ。どうかしたの?」


「え、そう?」


まさかの無自覚。


「そうだよ。話しかけても上の空だし、妙にソワソワしているし」


「なにか隠しているでしょ!」と鋭い目を向ける。



「あ…いや…」


そう言いながら目をそらす。



あ、その顔知ってる。


誤魔化すときによくする顔だよね。


最近長く一緒にいるからか表情だけでなにを思っているのかわかるようになった。


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