美術室のユーレイ


それでも私はやめない。


「私1人だよ。でも私は美術が好きなの!だから続けるの」


ハッキリとした口調でそう言った。


昔から絵を描くことが好きだった。


それは物心ついたころからずっと。



本当は人物を描くのが好きなんだけど、何度も言うように部員が私1人ということでモデルになってくれる人物がいない。


だから最近は風景を描くようにしている。


空とか木とか校舎とか。



最初は「描くものがないから」という理由でなんとなく風景を描いていたけれど、空の青さと雲の感じとか、木の光の当たり具合とか。


そういうのを観察して描いていくうちにだんだんと楽しくなってきて。



今は風景を描くために筆を取っている。


「そっかーじゃあ仕方ないね」


私の意志の強さが伝わったのか結杏も理解してくれた。



結杏にはそういう優しさもある。

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