美術室のユーレイ
「だって、友だちでしょ?」
「友だち…?」
「そう、私たちは友だち!」
私は立ち上がり手を差し出した。
「私の名前は 渡辺 舞空!よろしくね!美斗くん!」
「美斗くん…」
美斗くんは一瞬悲しそうな顔をしたと思ったら、そんなことも忘れるほどに豪快に笑いだした。
そんな風に笑う人なんだ。
「なにかおかしい?」
「いや、俺、そんなこと言われたの、死んでから初めて」
そう言いながらまだ笑ってる。
いくら何でも笑いすぎではないか。
「もーう!いい!友だちにならない!」
痺れを切らした私は差し出していた手を引っ込め、そっぽを向いた。
「わりぃわりぃ」
謝りながら美斗くんは立ち上がった。
私より20センチは高い美斗くんの身長。
笑い終わった美斗くんは、本当に嬉しそうにとびきりの笑顔で言った。
「よろしくな、舞空」
私と友達になれたことがそんなに嬉しいのか笑顔が眩しい。
さっきまではムッとしていたけど、なんだかこっちまで笑顔になってくる。
「うん!よろしくね、美斗くん!」
そう言って握手をしようと今度こそ私はまた手を差し出した。